
ウクライナ戦争などで安価なドローンが戦場の様相を一変させる中、日本も防衛用途でのドローン活用を急いでいる。しかし、その調達体制には重大な脆弱性が潜んでいる。元防衛装備庁長官が東洋経済オンラインのインタビューで、特定国への依存がもたらすリスクと、国内生産基盤構築の必要性を強く警告した。
元長官は、現在の自衛隊のドローン調達が海外製、特に米国や中国に大きく依存している現状を指摘。調達先の多様化が進まず、供給途絶や技術流出のリスクが高まっていると述べた。地政学的緊張が続く中、安定的な装備調達の確保は喫緊の課題だと強調する。
特に民間分野で中国製ドローンが世界市場を席巻する中、安全保障上の懸念から日本政府も調達見直しに動き始めている。ただ、防衛装備庁のデータによれば、2022年度の防衛用ドローン調達額のうち国産品の割合はわずか1割にも満たない。
この状況を打破するため、元長官は防衛産業の育成とともに、官民連携による国産ドローンの開発加速を訴える。「特定国に依存しない生産基盤を構築するには、技術力の維持とコスト競争力の両立が不可欠だ」と語る。予算確保や人材育成などの具体的な政策が求められる。
日本政府は2023年度から防衛費を大幅に増額し、無人機を含む装備品の国産化推進を打ち出している。元長官はこうした動きを評価しつつ、「実効性のある産業戦略と長期的な視点がなければ、再び依存体質に逆戻りしかねない」と警鐘を鳴らす。自立的な防衛力強化への道筋はなお険しい。